加来幸樹コラム 寄稿コラム

【覚悟を持てるネーミングやコピー】を共創するための5ステップ

投稿日:2019年3月19日 更新日:

こんにちは、株式会社サインコサイン代表取締役 CEO / CO-CREATORの加来幸樹です。

今回の記事では、僕がこれまで企業や個人のネーミングやコピーなど数百個近く共創してきた中で、意識してきた要点を抜粋してご紹介したいと思います。

「良い名のもとでしか良い体がつくり上げられない」

よく「名は体を表す」と言いますが、これは「良い名」のもとでしか「良い体」がつくり上げられないからこそ、そのような言葉が生まれていると僕は考えています。

つまり、理想的な「名(ネーミング)」や「コトバ(企業理念やタグライン、キャッチコピー)」とは、表したい「体(結果・状態)を為すための覚悟」を持てるものではないでしょうか。

これらを決めるとき、関わる人が多いものほど、どうしても様々な意見や感想は生まれますし、全人類が合意・納得することはありえません。

しかし、重要なのは、少なくともそのコトバを多く使うことになる当事者・本人が、その信念とともに自分の声で語り続けられることです。それを信じ、僕はネーミングやコピーなど様々な言葉を共創してきました。

では、僕が普段意識しているネーミングやコピーを共創するための5ステップをご紹介いたします。

 

ステップ1:まずは”オープン”に語ってもらう。

当たり前ですが、まず始めに必要なのは依頼者からオリエンテーションです。しかし、このオリエンのもらい方にもポイントがあります。通常はある程度フォーマット化されたドキュメントで受け取ったり、こちらからのヒアリング項目に回答してもらうことが多いと思いますが、僕の場合はできるだけ何も問わずに”オープン”に語ってもらうようにしています。「まずは自由に語ってください。」くらいの超オープン・クエスチョンで始めます。

なぜこのような始め方をするのかというと、ここで「何を、何から語るのか?」「どのコトバを強く(弱く)語るのか?」に本人のテーマに対する意志や覚悟、優先順位が表れるからです。

それらに対する温度感がわかっていないと、この後にどんな質問をすればいいのか?どんなアウトプットを考えればいいのか?そのきっかけがつかめず進んでいき、当たり障りのないフィニッシュになってしまうことが多いです。

また、意思決定者の認識が曖昧だったり、関わるステークホルダーの多い場合もあると思います。その場合は、LEGO® SERIOUS PLAY®(※)やPinterestを用いたワークショップなどを通じてビジュアルから語ってもらうことも有効です。

※レゴブロックを用いたワークショップ。ブロックで作品を作り、心の奥に隠れた内観を立体化・可視化させる。その後、作った作品に対する内観を語り、他のメンバーはその作品を様々な視点から観察し、語りを聴き、質問する。このプロセスで自分の内観、他者の内観に気づいていく。

 

ステップ2:本質的な提供価値を問う。

オリエンテーションにおける要点を理解することができたら、より具体的な「問い」を与え始めます。

まず、ここで問うべきは「本質的な提供価値」です。

本質的な価値とは、「具体的に誰に向けて価値を生み出したいのか?」「どんな提供価値があるのか?」「何が一番のこだわりなのか?」「これだけは譲れないことはあるか?」「どんな状態がつくれたらハッピーなのか?」といったものです。

新会社のネーミング、プロダクト名、サービスのキャッチコピー、個人理念、肩書きなど依頼テーマが何であったとしても、それらは必ず、何かしらの価値を世の中の誰か(もしかしたら自分)に提供していくための「体を表す名」に他なりません。その価値を提供する「具体的な誰か」に気づいてもらうために、また本人がその「提供価値」を見失わずに「体」を為していくためにも、ネーミングは本質的な提供価値に基づいて言語化される必要があります。

 

ステップ3:考えすぎずに、試作品をつくる

本質的な提供価値がある程度見えてきたら、いよいよ文字情報としてのアウトプットを考えていきます。言語化にあたっては色々な考え方や手法があります。

アウトプットの鍵は「食材とスパイス」「関連性」

例えば、僕が作成した「それだ!感のあるネーミングのつくりかた」というスライドでも紹介している「メイン食材+調味料(スパイス)」というフレームワークもその1つ。

ステップ2で探った「本質的な提供価値」は「調味料(スパイス)」にあたることが多くなります。食材とスパイスの理想のバランスは、言語化する対象が何かによって変わってきます。ざっくり説明すると、コトバを通じて「それが何であるか?」を伝達する必要性の高いテーマになるほど「メイン食材(=機能的な側面)」の比重が高まると感じています。このあたりについては、先ほどのスライドで詳しく紹介していますので併せてご覧ください。

そして、そのアウトプットをより魅力的に演出(調理)するポイントとして、意識しているのは名著「アイデアのつくり方」でも語られているように「既存の要素との関連性」から発想を広げていくことです。

Pinterestや類義語辞典(和英辞典)といった、インスピレーションを拡張するためのツールを使用しながら、アイデアのタネをたくさん発散することで、関連性を見つけやすい状況をつくり、具体案を作成していきます。

コトバをビジュアルでみることで、新たな関連性がみつかる

そして、こちらのステップで特に大切なのは、あまり自信が持てない状態でも、とりあえずアイデアをカタチにしてみることです。なぜなら頭の中で考えるだけでなく、実際にコトバをビジュアルで見てみることで、新しい関連性や意味を発見することができるからです。

例えば、「&HAND(アンドハンド)」というネーミングを作成したときのこと、「&HAND」は、「手を差し伸べ合える」という提供価値から発想しましたが、「安堵(あんど)してもらえる」という意味も掛けられる、と気づけたのは実際にアイデアを考えた後でした。

また、「SIGNCOSIGN(サインコサイン)」という自分の会社の社名も「共に覚悟を共創する」という意味から「COSIGN(コサイン)」という仮の社名を発案したことをきっかけに、より意味の深い社名・ロゴを開発できました。

 

ステップ4:イメージが湧く具体的な使用例を示す。

試作と改善を繰り返しながら「これかな?」と思えるアイデアに出会えたら、いよいよ決定に向けて、覚悟を決めるステップに移行します。そのコトバの持つワクワクする未来や可能性をたくさん提示しましょう。

例えば、ロゴにしたときのビジュアルイメージだったり、サービスやプロダクト内容にも関わる展開例だったり、「こんなハッシュタグが使えるな」とか、「こんな面白い広告がつくれそう」とか、「こんなシリーズも考えられるな」など具体的な使用例を示すことで、ネーミング決定後のイメージを膨らませます。

言葉や文字で伝えるだけでなく、時には簡易なデザインラフなどを作成したり、近い参考イメージなどを探して視覚で訴えることも有効です。ポジティブな可能性を数多く示すことで、決定に向けたネガティブな懸念事項を払拭していくサポートを全力で行います。

 

ステップ5:覚悟をもって決定してもらう。

ここまできちんと進むことができれば、あとは本人に覚悟をもってコトバを決定してもらうのみです。ここだけは絶対にその名(コトバ)を使って体を為していく本人が行う必要があります。

もちろん覚悟を持つために足りないことや、懸念材料が出てくるようでしたら、何度でも前のステップに戻ってやり直します。しかし、このステップだけは絶対に肩代わりしてはいけません。仮に決められないとしたら、まだ何かの検討が足りないか本人の覚悟が足りないかのどちらかです。

最も突破するのが難しいステップですが、ここをクリアするネーミングやコピーが生まれた暁には、本人は今後何かを成し遂げるための指針となる「名」や「コトバ」を得るだけでなく、そこに至るまでのプロセスで検討・意思決定した内容を、その後のプロダクト開発やマーケティング企画など様々なフェーズで役立てることもできます。

 

覚悟を持てるネーミングやコピーを共創するために

以上が、僕が意識している「覚悟を持てるネーミングやコピーを共創するための5ステップ」です。

それぞれにかける時間(日数)や、関わってもらう人数はプロジェクトの規模や状況によって様々ですが、30分〜60分で1 on 1のネーミングセッションを行う場合でも、1年がかりで1,000人規模の会社のリブランディングを行う場合でも、この5ステップをきちんと実行するように意識しています。

ぜひネーミングやコピーなど、覚悟を持てるアウトプットが必要になった際にはぜひこのようなステップで共創してみてください。
しかし、それぞれのステップごとの具体的な方法論についてもまだまだ深掘りし洗練させていきたいと考えておりますので、ご意見やご感想などもお気軽にお寄せ下さい!

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

加来 幸樹(株式会社サインコサイン)

2006年に株式会社セプテーニへ新卒入社し、クリエイティブディレクターとしてインターネット広告を主軸に幅広いフィールドで活躍。
2018年4月にセプテーニグループの社内ベンチャーとして株式会社サインコサインを設立し、代表取締役 CEO / CO-CREATORを務める。
「自分の言葉で語るとき人はいい声で話す」を信念に掲げ、所属企業の枠を超えた新しい働き方に挑戦するコミュニティメンバーと共に、ブランドアイデンティティの開発やインナーブランディング領域を中心に様々な企業や個人のブランドを支援している。

-加来幸樹コラム, 寄稿コラム

Copyright© Web行動心理学研究所 - by infodex co. , 2019 All Rights Reserved.