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「気づき」を与えるメッセージでユーザーに寄り添う。チューリッヒ生命における商品ブランディングとは?

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企業のマーケティング担当者に現在のマーケティング活動やその課題について伺いながら、「人の心を動かす」マーケティングについて考える、インタビュー企画第二弾。
今回は、チューリッヒ生命ののマーケティング・コミュニケーション部、小林直子さんにお話をお伺いしました。

プロフィール


小林 直子  ( こばやし なおこ )

チューリッヒ生命
マーケティング・コミュニケーション部 部長

1999年から2005年までWeb広告メディアレップのデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社にメディアプランナーとして従事。その後、2015年まで株式会社読売広告社にて、Web領域をメインとしたプロモーションを企画、実施。その後、コンサルティング・会計監査法人のデジタルマーケティング部門を経て、2017年5月よりチューリッヒ生命マーケティング・コミュニケーション部へ入社。

 

-本日は、チューリッヒ生命におけるマーケティングのお取り組みについてお伺いいたします。まずは、小林さんが担当されている業務や役割を教えていただけますか?

私は、マーケティング・コミュニケーション部に所属しています。主なミッションは、商品と企業の認知・ブランディングです。
チューリッヒ生命の日本支店は、1996年にチューリッヒ・インシュランス・グループの生命保険部門として設立されました。商品は、主に死亡保険、がん保険、医療保険などを扱っています。

 

https://www.zurichlife.co.jp/product

商品販売チャネルは、主に乗合代理店・銀行窓販・インターネットを含む通販の3つです。これらのブランディング施策としては、新商品の発売時に合わせたWeb広告の配信や、メディアとの記事タイアップ企画などを行っています。デジタルだけでなく雑誌などの媒体も利用し、商品の特徴やターゲットを考えた上でさまざまな施策を行っていきます。

 

プロモーションにおけるこだわり ―「気づき」を与えるメッセージをつくる-

-商品のプロモーション・ブランディングの方向性はどのように決めていくのでしょうか。

まずは商品の特徴や強みを表したコアなキーワード、キーメッセージを作成します。Webサイトやパンフレットなど、どんな面でも共通するキーワードを部門間で話し合い、決定します。その後、実際のプロモーションとしてターゲットに合わせて媒体選定、細かな表現を調整していきます。

 

-なにかコアなキーワードを意識した例はありますか?

くらすプラス」という就業不能保険があるのですが、当社は、その商品にて統合失調症などの「ストレス性疾病」に対する保障をひとつの強み・キーにしています。

近年うつ病等のストレス性疾病の患者数は増加傾向にあります。そのような状況でこの商品を出したわけですが、保険会社としては逆選択のリスクもあります。しかしながら「今本当に困っている人々を支えたい」という思いから、当社ではストレス性疾病も保障の対象にしています。他社もあまり押し出していない部分でして、かなり踏み込んだ保障内容になります。

そこで、「ストレス」といえば「チューリッヒ生命」というキーワードをさまざまな方向でアピールし、浸透させていきたいと考えています。

 

-例えばどのような活動をされているのでしょうか。

ノベルティとして入浴剤やハーブティ、肩や目の疲れを癒すグッズなど「ストレスを緩和するグッズ」をメディアやインフルエンサーの方々へお渡ししています。
また、「ストレスに関する意識調査※1」というリサーチを年に一度実施しリリースを行っています。
このように、チューリッヒがストレスに関して色々な活動を行っているということを、多方面でアプローチしています。

※1 2019年 ビジネスパーソンが抱えるストレスに関する調査
https://www.zurichlife.co.jp/aboutus/pressrelease/2019/20190424_01

 

-商品の強みを多角的にアピールしていくのですね。具体的なプロモーションにおいては、媒体選定や表現を工夫されるとこのことですが、なにか例はありますか?

2018年の4月に発売された「終身ガン治療保険プレミアムDX」という商品のプロモーションでは動画を作成しYouTubeのTrueView広告等に出稿しました。そこでの表現は工夫しました。

 

 

-簡単に商品内容・特徴を教えていただけますか。

まず、当社のがん保険の特徴として「がんの治療」にフォーカスしているという点があります。

一般的ながん保険の主契約は入院・手術に対する給付金が受け取れるというものが多いですが、当社では主契約が治療自体にフォーカスしています。入院がなく、通院のみの治療であっても、がんの治療を直接の目的として所定の抗がん剤・ホルモン剤、放射線治療を受けられた場合は、治療を受けられた月ごとに給付金をお支払いします。

さらに、昨年4月に発売した「終身ガン治療保険プレミアムDX」では、これまでの「終身ガン治療保険プレミアム」と「3 大疾病保険プレミアム」の「抗がん剤・ホルモン剤治療給付金」で保障対象外となっていた「日本で未承認の抗がん剤」のうち、「欧米で承認された所定の抗がん剤またはホルモン剤」について保障する「自由診療抗がん剤・自由診療ホルモン剤治療給付金」を新たに創設しました。これにより欧米で承認後に、日本で承認されるまでの期間(公的保障の対象外)についても保障を得ることが出来るようになりました。

 

-そのような特徴をもった新商品のプロモーションで、表現にこだわったとのことですが、どのような点でしょうか。

表現として「お客様のがん治療における選択肢が広がる」ということを意識しました。これまでの「終身ガン治療保険プレミアム」で保障の対象とならなかった“欧米で承認されているものの、日本で未承認の抗がん剤・ホルモン剤”を新たに追加して保障することにより、お客様のがん治療における選択肢が広がります。これによって、お客様が希望される当該治療を受けた場合の経済上の負担を軽減します。

そのような特長を、一方的にストレートに訴求するのではなく、「気づき」を与えるように「がん治療の選択肢が広がる」というメッセージで表現することを心がけました。

 

 

-ユーザーの心理的に納得できるような表現にされたのですね。配信の結果はいかがでしたでしょうか?

YouTube上の視聴回数は、420万回再生(2019年4月17日時点)されています。当時の広告配信前後のブランドリフト調査結果を見ると、商品の認知度がアップしました。

 

-今年4月に発売された新商品があるとのことでしたが、そのプロモーションはどのようにされたのでしょうか。

4月に発売した商品は2つあります。

まず「収入保障保険プレミアムDX」は30~40代の子育て世代に向け、働けなくなった場合を包括的に保障する、死亡保険と就業不能をセットにした商品です。
ケガ・病気で長期間働けなくなった場合、復帰してもすぐに収入は戻らない場合があります。しかし、こちらでは保険期間満了までであれば、年金を受け取れるため収入減をカバーすることができます。
このプロモーションに関しては、動画広告などでパッと見てもらうというよりも、商品を噛み砕いて分かりやすく説明することで魅力が伝わると考え、タイアップ記事など「読む」形でプロモーションを行っています。

もう一つの新商品「定期保険プレミアムDX」の特徴は、90歳満了型を新設したことです。長寿化に伴う老後の費用や葬儀費用等に備えたいというニーズの高まりをうけた商品です。そのため、ターゲットの年齢が若干高くなるので、媒体としては雑誌をメインに設定しています。

大切にしているのは、デジタルにこだわらず、商品の強みが一番伝わる媒体選びを行うことです。また、商品それぞれの強みを、ターゲットに「気づき」を与えるような形でキーメッセージに乗せて、訴求を行っていくことです。

 

プロモーションにおける苦労とは?-比較されることは前提。客観的に分かりやすく-

-ターゲットと親和性の高い媒体や表現を細かく選択されているのですね。いくつか商品をご紹介いただきましたが、保険商品は種類や特長、会社もさまざまですよね。ユーザーに自社の商品を理解してもらうための対策はありますか?

1つは基本的なことですが、Webサイトの情報整理を心掛けています。検索で当社のサイトに飛んできたときに、欲しい情報がすぐにみつけられるようなユーザービリティの高いサイト作りは、PC・スマートフォンともに意識しています。

 

-そのなかでも特にこだわるのは、例えばどのような点でしょうか。

最近はみなさん比較サイトをよくみていらっしゃいますよね。本当に自分にとって必要なものかどうかを検討し、一円でも安くより良い保険に入りたいという方は多いです。

そのため、まず商品において「価格」の可視化には気を付けています。当社の保険は、「オーダーメイド」「カスタマイズ」しやすい商品であることが強みの一つです。特約を一つ外すだけでも価格が変わってきます。そのため、その場で簡単にお客様がカスタマイズして見積り算出ができるようなWebサイトにしています。

保険だけでなく、日頃から私たちは自分に合ったもの、必要なものをWebで比較し、様々な要素を細かく見極めますよね。非常にお客様のリテラシーが高くなっています。保険会社も、そういった方々に合わせて、自分用にカスタマイズできる商品を作り、お求めやすい保険料で提供していくということが重要だと思っています。

 

今後の課題―デジタルを駆使して次のフェーズへ―

-貴社マーケティングにおいて、今後の課題などはありますか?

生命保険は信頼性が重要なため、積極的、かつ一方的なプロモーションだけでは、お客様の心へ響かないと思います。そういった意味では、当社は正直、プロモーションに保守的なところもあります。

しかし、特にデジタル・プロモーションのメリットも多くあることは認識しています。デジタル・プロモーションでは、例えば、ターゲットのセグメントを細かく分け、それぞれのニーズにあったコンテンツを届けることができます。必要な人に必要なタイミングで、必要なコンテンツを届けられるのは、人生において何度か加入・見直しのタイミングをもつ生命保険において有効だと考えています。ですので、デジタル・プロモーションはこれからもっと力をいれていきたいですね。

 

チューリッヒ生命 日本支店(https://www.zurichlife.co.jp/

チューリッヒ・インシュアランス・グループの日本における生命保険事業の主要拠点として1996年に設立。多くの働き盛り世代の方々に「革新的な保障性商品」と「高品質なサービス(Z.Q. : チューリッヒ・クオリティー)」を、インターネット、電話、保険代理店、銀行など「お客様にとって利便性の高い選択権の活かせるチャネル」を通じて、提供している。

 

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宮田 あゆみ(Web行動心理学研究所 編集部)

Webディレクター・マーケター・ライター
2018年に株式会社インフォデックスに入社。 Web行動心理学研究所の編集部としてライティング・マーケティング・PRを行いながら、WEB広告・LP・サイト等数々のディレクションも担当している。

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