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BOSSタッチアンドゴーコーヒーが人気の理由は?カスタマイズをマーケティングに活かそう!

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今回のテーマは、「カスタマイズ」と購買心理の関係。自分で味もラベルもカスタマイズできる未来系コーヒースタンド「BOSS タッチアンドゴーコーヒー」の人気の理由を心理効果からひもときます。自社マーケティングに応用できる部分もありますよ。

 

BOSSタッチアンドゴーコーヒーのカスタマイズ戦略


参照元:https://touch-and-go-coffee.jp

サントリーがBOSSブランドで打ち出した近未来感のあるコーヒースタンドの人気が高まっています。
日本橋に開店した「タッチアンドゴーコーヒー(TOUCH-AND-GO COFFEE)」は、LINEから「自分好みにカスタマイズしたコーヒー」を手軽に注文できるビジネスモデルで、新たな需要を掘り起こしました。
連日注文が混雑するほど人気になっている「タッチアンドゴーコーヒー」のマーケティングと売上上昇の秘密を、心理効果と絡めて分析してみました。

 

タッチアンドゴーコーヒーのサービス

サントリーBOSSが展開する「タッチアンドゴーコーヒー」とは、LINEで友達登録したアカウントから「自分だけのためにカスタマイズしたクリアボトル入りのコーヒー・カフェラテ」を簡単に事前注文できるサービスです。
LINEで注文したコーヒーは、おしゃれなコーヒースタンドで並ばずに受け取れるので、長く待てない通勤客・通学客を中心に人気が拡大しています。

スターバックスが導入した「モバイルオーダー&ペイ」と似た仕組みですが、「タッチアンドゴーコーヒー」は店員の接客を基本的に受けない違いがあり、カフェ利用とは異なる「時間短縮のカスタマーエクスペリエンス(便利で楽しい顧客体験)」を可能にしています。
アプリの事前決済はクレジットカードとLINEPayに対応していて、現金を用意する必要もなく非常にスムーズです。

LINEを使ったオーダー画面もユーザビリティーを追求していて、「コーヒーかラテか・ホットかアイスか・フルーティーかロースティーか」などを直感的に選ぶだけで、「カスタマイズした自分だけのコーヒー」を手に入れられます。この「直感的なオーダー・キャッシュレス決済」と「待ち時間のない受取」が人気の理由です。

また、もう1点「タッチアンドゴーコーヒー」の面白い特徴としてボトルに貼ってあるラベルネームを変更できるサービスがあり、この商品のオリジナリティーを高めています。名前を記入すると店舗の大画面にも「○○さん、コーヒーができました!」と表示されるのですが、このネームを「好きな芸能人・アニメキャラなどの名前」に変える“ヲタ活”の流行で、今までとは異なる層のコーヒー需要を増やしています。

 

タッチアンドゴーコーヒー人気の理由

【1】味・ボトルのアレンジで愛着が強まるイケア効果・授かり効果


タッチアンドゴーコーヒーが人気の理由として、まず「イケア効果(IKEA effect)」が挙げられます。
イケア効果とは「自分で手間暇をかけて作ったものほど愛着と評価が高まる心理効果」で、グローバルな家具量販店IKEAが敢えて「手間・時間のかかる組み立て式家具」を販売して成功したことに由来しています。

タッチアンドゴーコーヒーは、コンビニ・自販機で買う既製品のコーヒー商品よりも手に入れるまでに手間・時間がかかりますが、これで逆に「イケア効果」が働いて「カスタマイズしたコーヒーに対する愛着・評価」が強まるのです。

自分好みのコーヒーやラベルを選ぶカスタマイズ過程では、すでにそのコーヒーが自分のもので手放したくないという「授かり効果・保有効果」も働くので、カスタマイズサービスを導入することで顧客の多くを実際の購入へ誘導できます。

 

【2】透明ボトルとラベルネームによるハロー効果

サントリーBOSSは近年コーヒーやラテ、紅茶を透明ペットボトルに入れるマーケティングを促進しています。「透明ボトル」は「現代的な洗練されたデザインの象徴」として「ハロー効果(後光効果)」を生み出します。

「ハロー効果」とは、顕著に目立つ特徴に引きずられて全体を同じように評価してしまう心理効果です。
タッチアンドゴーコーヒーは「コーヒーの味とラベルの自由なカスタマイズ+透明ボトルのおしゃれデザイン」の持つハロー効果で、それ以外の味・価格などの要因も素晴らしいと判断されやすくなっています。

アサヒ飲料が発売した透明なカフェラテ飲料「クリアラテ」も「ラテなのに透明で水のよう」なパッケージになっています。味はもちろんですが、「パッケージデザインの今風な洗練さ」によって「ハロー効果」を生みだし、商品の売上を増やしているといえます。

 

【3】コーヒーのカスタマイズに意識を向けるダブルバインド効果


タッチアンドゴーコーヒーの人気の理由を、米国の文化人類学者グレゴリー・ベイトソンの提唱した「ダブルバインド理論」を応用して分析することもできます。

ベイトソンの「ダブルバインド理論」は元々、統合失調症の原因になると推測された「どちらを選んでも苦痛を感じる矛盾した二重拘束状態」を意味しますが、マーケティングでは「どちらを選んでも結局購入に結びつく効果的な二つの選択肢を提示する心理効果」として応用されています。

タッチアンドゴーコーヒーのLINEを使ったモバイルオーダーは、「購入するかしないかの選択肢」を示さずに、「コーヒーですかラテですか?ラベルネームをどんな名前にしますか?」というどちらを選んでも注文することになるダブルバインド効果を働かせているので、コンバージョンが自然にアップします。

顧客を買うか買わないかで迷わせない、「購入前提の興味を持てる選択肢」を用意することが、効果的なマーケティングにつながります。

 

【4】なかなかオーダーできないから欲しくなるスノッブ効果


現在、タッチアンドゴーコーヒーは注文がとても混み合っていて、朝の早い時間にオーダーしないと買えない状況になっています。

人には「他人とは違う商品が欲しい」という普遍的な欲求があり、BOSSのタッチアンドゴーコーヒーはその差異化欲求を、味・ラベルネームのカスタマイズやおしゃれな透明ボトルで満たしてくれます。
更に「なかなかオーダーできない品薄状況」が加わることで「スノッブ効果」が働いて人気が高まっています。

「スノッブ効果」とは「みんなと違うものが欲しい差異化欲求によって、簡単に手に入らない希少なものほど需要が高まる心理効果」ですが、スノッブ効果でターゲット層の購買意欲を高めるには「販売数限定・期間限定などによる希少性の強化」が有効でしょう。

 

カスタマイズできる商品で人気になった他の事例

タッチアンドゴーコーヒーのように「カスタマイズ可能な商品」として人気になったものを紹介します。

ナイキの「NIKEiD」のスニーカーのカスタマイズ


参照元:https://www.nike.com/jp/

最大手のスポーツメーカー・ナイキが運営する「NIKEiD」のECサイトでは、ライフスタイルやランニング、バスケット、サッカーなど各種シューズの細かなカスタマイズができるサービス。
どのシューズでも、「ベースカラー・靴ひもの色・靴底の素材・装飾オプション」などを自由にカスタマイズして、自分だけのオリジナルの一足をオーダーすることができます。

 

スズキの「ハスラー」のカスタマイズ

各自動車メーカーが、車のカラーやパーツ、オプションのカスタマイズ性を高めて、「自分だけのお気に入りの一台」を選んだ気分にさせる工夫をしています。
特にスズキの「ハスラー」は、屋根(ルーフ)とボディの色を変えて組み合わせる「ルーフツートンカラー」のカスタマイズで人気になりました。

「みんなの遊べる軽」というハスラーのキャッチコピーは、豊富なカラーバリエーションを背景にした「自分が選んだ遊び心のあるオリジナルな一台」をイメージさせてくれます。

https://www.suzuki.co.jp/car/hustler/

 

「サーティワンアイスクリーム」のカスタマイズ

身近なカスタマイズ商品の事例としては、「サーティワンアイスクリーム」もあります。

「サーティワンアイスクリーム」はとにかくフレーバーの種類が豊富で季節商品も多いのですが、そのフレーバーをダブル(2個)やトリプル(3個)で組み合わせることで、「自分オリジナルのアイスクリーム(組み合わせ数は膨大)」をカスタマイズできますよね。

https://www.31ice.co.jp/

 

カスタマイズの裏にある心理を知って自社のマーケティングにも生かそう

BOSSコーヒースタンドの「タッチアンドゴーコーヒー」は、LINEで「カスタマイズしたオリジナルコーヒー」をオーダーできる画期的サービス。実は、自社サービスにも応用可能なマーケティングのアイデアや心理効果が多く含まれています。
顧客に敢えて一手間かけさせることで商品価値を高める「イケア効果」、インパクトのある特徴で商品全体が良く見える「ハロー効果」、顧客を自然にコンバージョンに導く「ダブルバインド効果」などが、「タッチアンドゴーコーヒー」の人気の秘密になっています。これらの心理効果を、ぜひ自社のマーケティング・商品開発にも積極的に活用していきましょう!

 

 

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